岩槻の情報紙「ら・みやび」
NO.652より転載
『格差社会と塾』
ＥＱについて何処かで聞いたことがある。
しかし、よくわからないと言う人が多いのではないですか。
ＥＱとはゴールマンが提唱した
「思いやり・協力・調和」のことで
「こころの知能指数」と呼ばれています。
従来、我が国ではＩＱ（知能指数）が
高い人ほど優秀であり、社会的な
成功をおさめると考えられてきた。
それがある意味で否定されたわけです。
ＩＱが高いことに意味があるのではなく，
ＥＱ（こころの知能指数）との
兼ね合いが重要と言うことです。
しかし、我が国では必ずしも
ＥＱを高める環境にはない。
頻発する「いじめや虐待」が
それを物語っています。
社会全体に思いやりや優しさ、
協力や共感が薄れて来ているのかも知れません。
現在、わが国の社会システムの中で
もっとも機能していないのが
「家庭教育」と言われる。
本来は親の役割であるはずの
「しつけ」も教育機関に
依存しているのが現実です。
しかし、一方では、
我が子を守るのは親しかいないとの思いも強い。
名門校に入学し、有名企業に就職することで
幸せになる時代は、20年以上前にいったんは終わっている。
しかし、20年後の現在、またしても
「お受験」が頭をもたげている。
少子化傾向が定着し、
無理をしなければ高校や大学への
「全員入学」が可能な時代です。
それにも関わらず親たちの教育熱は高い。
また、「格差社会」と言われ、
子育て世代の親の「経済格差」が広がっています。
親の経済力が子どもの将来を
決めるが如く言われる昨今です。
高い月謝を払って子どもを塾に
通わせることが親のステータスの様に
誤解している親もいます。
塾に通わせることが親のステータスではなく、
塾を本当に必要としている子ども、
例えば不登校児や学習遅滞児への
「塾」であって欲しい。
学習塾以外にも個性を伸ばす
ＥＱを高める塾も増えて来たが、
学習塾以上に「限られた子ども」の塾であり、
「格差社会の副産物」になりかねない。
親の経済力が子どもの将来を
決めるが如く社会風潮は戒めるべきであろう。
ＮＰＯ法人親子ふれあい教育研究所 代表理事 元大学教授（心理学）
